貧血を改善する薬 その2

透析と薬

貧血を改善するために使用される薬の説明その2です。造血剤が血液を作り出す「大工さん」だとすれば今回解説するフェジンは「血液の材料」のような関係です。それでは解説します。

  1. 薬の役割
    • フェジンは鉄分を補充する薬です。透析患者さんは腎性貧血のため鉄が不足しやすいため、この薬が鉄の不足を補います。
  2. なぜ使うか
    • 透析を行うと、体内の鉄が不足し、貧血を引き起こすことがあります。フェジンは血中のヘモグロビンを正常に保つために必要な鉄を補給するために使用されます。
  3. 効果の確認方法
    • 効果の確認には、血液検査でヘモグロビン値やフェリチン値をチェックします。フェリチンは体内の鉄の貯蔵状態を示す指標であり、貧血の程度や鉄の不足状態を知るのに役立ちます。
  4. 注意点
    • 患者さんの体重やヘモグロビン値に応じて投与量が変わるため、医師の指示に従ってください。肝障害がある方や過敏症の方は特に注意が必要です。フェジン(含糖酸化鉄)の投与は、肝障害のある患者には禁忌です。例えばB型やC型肝炎などでフェジンの使用が肝機能をさらに悪化させる恐れがあるためです。フェジンは鉄剤であり、肝臓は鉄の代謝に重要な役割を果たすため、肝機能が既に損なわれている場合、追加の鉄負荷が肝臓にさらなる負担をかける可能性があります。そのため、重篤な肝障害がある場合にはフェジンの使用が禁となる場合があるので該当される方は必ず申告してください。

ヘモグロビンの基準値と異常値

  • 透析患者さんのヘモグロビンの目標値は、10g/dL以上12g/dL未満とされています。ヘモグロビン値がこの範囲内にあると、貧血のリスクが低いと考えられます。
  • 10g/dL未満の場合は、腎性貧血治療を開始することが推奨されています。

フェリチンの基準値と異常値

  • 血清フェリチン値が低いとされるのは12ng/mL未満で、この場合、体内の貯蔵鉄が少なく、将来的に貧血になる可能性が高いとされます。
  • 逆に、血清フェリチン値が高いとされるのは250ng/mL以上です。高い場合、体内の貯蔵鉄が多すぎるか、肝障害、感染症、悪性腫瘍、心筋梗塞などの疾患が疑われることがあります。
  • 透析患者さんでは慢性炎症の影響で血清フェリチン値が高い傾向にあります。健康な人に比べてフェリチンが高い場合、100ng/mLより低い値で鉄欠乏があると判断されることがあります。ただし、血清フェリチン値が高くても、骨髄で鉄がうまく利用されていない場合、貧血の原因となることもあります。

これらの点を理解し、体調に変化があればすぐに報告するようにしてください​

コメント

タイトルとURLをコピーしました