透析中に起きる症状~足の吊り~

透析中に起きる症状

こんにちは。透析の部屋です。

本日は、透析中に起きる症状~足の吊り~についてお話ししていきます。

透析中に足がつる症状は経験された方も多いのではないでしょうか。

一説によると透析患者さんのうち4人に1人もしくは実に2人に1人が足吊りを経験されたことがあると言われています。

多くは透析中に起きますが、透析のない日や睡眠中にも起きることがあるため、不眠や倦怠感が続き生活の質に影響することも多い症状です。

本日はなぜ足吊りが起きるのか、起きないようにするにはどうすればよいか。起きてしまったらどう対応すればいいのかをお話ししたいと思います。

それではよろしくお願いします。

足吊りはなぜ起きるのでしょうか

原因は筋肉のけいれんです。この筋肉のけいれんは意識とは関係なく起き、しかも痛みを伴います。筋肉のけいれんなので足以外にも腕やお腹でも起きることがあります。このうち足が吊ることをいわゆる「こむら返り」といいます。

痛みが起きるのは、一部の筋肉が異常に収縮することで周囲の筋肉とズレが生じることが痛覚を刺激するためです。

この筋肉がこわばったりつっぱりする原因をもう少し詳しく見ていきましょう。

通常、筋肉が動くときには、まず運動神経から筋肉に「収縮する」命令が伝えられます。すると筋肉細胞の中にカルシウムイオンが入り込み、逆に筋肉細胞からカリウムイオンが出ていきます。この流入出によって電位差が生じることで「収縮する」スイッチがオンになり筋肉繊維が興奮して収縮します。

透析によってこの電解質のバランス変化が急過ぎると足吊りが起きます。また除水に伴い血圧や手足の血液量が減少することで、筋肉への酸素供給が減少することも原因となります。

では、「電解質のバランス変化が急過ぎ」たり、「血圧や手足の血液量が減少」はどうなったら起きるのでしょうか。原因で最も多いのは、時間当たりの除水量が多すぎたり、総除水が多すぎる、ドライウェイトが低く設定されている、などが考えられる原因となります。

その他、カルシウムが低い場合も、筋肉が刺激を受けやすくなり足吊りが起きやすくなります。

また筋肉の動きに関わるカルニチンというアミノ酸が、透析患者さんでは不足しがちになるためカルニチンの欠乏も原因と言われています。

そして、透析後半の急な体位変更も原因となります。

足が吊りそうな時は・・・スタッフを呼ぶ!

足が吊りそうな場合は、除水速度を下げたり、除水を止めます。血圧低下予防に足を上げていれば一旦下げてもらい、足へ血液が行き届くようにして様子を見ます。

もし本格的に足が吊った場合は、濃度の濃い生理食塩水(10%塩化ナトリウム)を注入することで足吊りは比較的急速に改善します。

塩分は水分をため込む性質があるので、10%塩化ナトリウムを注入すると、細胞から水分を血管内に引き込みます。

ただし、返血まで時間が残っていないタイミングで注射すると透析終了後も喉の渇きが続き水分を摂りすぎてしまうこともあるので注意が必要です。通常の生理食塩水を注入したり、下肢のマッサージで様子をみることもあります。

終了間際であれば10%塩化ナトリウムは使わず、返血する場合もあります。

足の吊り(こむら返り)のマッサージ

吊っている方の足首を90度以上曲げてふくらはぎの筋肉が伸びるようにします。収縮により痛みが出るので、収縮しているふくらはぎを伸ばすイメージです。

私も足吊りの患者さんがいたらこのマッサージを行いますが、介助して足首を曲げるときもかなり力が要ります。意思に反して筋肉がこわばっている状態なので自分で難しい場合は遠慮せずスタッフを呼んでください。

もし、血圧が下がっていなければ、ベッドサイドで立ってもらい、自分の体重で足首を曲げてふくらはぎを伸ばすのも効果的です。ふくらはぎの緊張した筋肉をもみほぐし、血液が流れやすくします。温めるの効果的です。

足吊りを予防するには

無理のない除水を行うことが足吊りの予防につながります。以前もお話しした体重増加を5%以内に抑えることが予防につながります。

また、自宅でも足吊りが続くようなら医師に相談しドライウエイトの見直しや漢方薬の「芍薬甘草湯」が処方されることもあります。芍薬と甘草によって構成される漢方で過剰な神経伝達を止めることでこむら返りに即効性があると言われています。また、筋肉の動きに関わるカルニチンを補充する注射薬(L‐カルニチン)も足吊りに効果があると言われています。

以上になります。参考になれば幸いです。

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